西国(26) 深山に鎮座する見事な大伽藍 一乗寺
癒しのポイント
一乗寺のポイントは深山に鎮座する大伽藍。斜面にせり出すように作られた立派な建築でもある大悲殿と呼ばれる本堂(金堂とも呼ばれる)、そして、1171年に建立された日本でも最古の部類に入ると言われる国宝三重塔。深い山に囲まれた静かな地で、歴史ある建物を散策するのは気持ちがいいものです。春は散歩がてら、秋は紅葉を愛でながら悠久の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
ちなみに京都市左京区にも一乗寺と呼ばれる地域があり、一般に一乗寺と言うと京都を思い浮かべる人の方が多いかもしれません。かつてその地域に一乗寺と称するお寺があったそうですが、お寺は現存しておらず地名だけが残っています。
天竺から来た法道仙人 伝説
播磨地域に多くの寺を開いたと伝えられる法道(法道仙人と呼ばれることも)。この一乗寺も法道の開基と言われています。法道は「天竺(インド)から紫の雲に乗って飛来した」と言われている人物で、紫の雲・・云々は後世の創作としても、西暦600年台当時に、なんらかの関係があった人物が実在していたのではないか、と伝えられています。
一乗寺については、次のような伝承があります。法道がインドから中国・朝鮮半島を経て日本に”紫の雲”で飛来した時、当時の播州国(現在の兵庫県加西市)に八葉の形をした山をみつけ、そこに降り立ったとの事。そこが現在の一乗寺がある「法華山」です。その後、法道の神通力の評判を聞いた帝(孝徳天皇)の病気を快復させたことから、帝はこの法華山に寺を建立させるに至ったということです。
ちなみに、八葉とは仏教において、8つの花びらをもった蓮華を指し、密教の胎蔵界曼荼羅の中央描かれています。中央に大日如来,そして8つの葉に4人の如来と4人の菩薩がお座りになられている姿を指します。聖地、高野山も、その地形から八葉になぞらえられることは有名です。
お寺への行き方
公共交通機関で行く場合は、JR山陽本線(JR神戸線)姫路駅から神姫バス「71 法華山一乗寺・別府経由 社」行きに乗り約40分で法華山一乗寺バス停を下車です。他にも、北条鉄道の法華口駅、JR山陽本線の宝殿駅からもバスが出ているようです。
またJR大阪駅から加西・津山方面に向かう高速バスでアスティアかさい(北条町駅)下車し、そこかた神姫バスあるいはタクシーという手段もあります。
自家用車の場合は、国道372号線を三口西交差点(下記地図の〇印の場所)で県道206号線で南下すると山門前に着きます。加西市の市街地からは車で約20分です。山陽自動車道経由の場合は加古川北ICを降りて、県道43を北上して途中で県道206号線に入るルートを辿ります。こちらも車で約20分です。
山門前にある駐車場は有料で、普通車は300円です。
参拝の記録
駐車場のすぐそばに境内への入り口があります。前を県道206号線が通っており、道に迷うことはありません。入り口前には小さいながらも休憩所(お土産物も販売している様子)と公衆トイレもあります。
一般的に、寺の入り口には山門がありますが、ここにはありません。実はここから県道206号線を加西市街方面に600mほど行ったところに、見落としてしまいそうな小さな山門(東門)があります。山門には、かつて徒歩で参詣したのであろう小さな参詣道が続いています。また、一乗寺から逆の方向に600mほど行ったところには、同じく小さな山門(西門)があります。車で走るときは見落とさないように。
入り口で、拝観料500円を払い、境内に入るとすぐに石段が目の前に迫ってきます。162段あるらしく、かなりきつい感じがしますが、頂上までの途中にお堂があるため、散策しながら登っていると、それほどきつくはありません。
石段の途中にある常行堂。阿弥陀如来を本尊として祀っていますが、天台宗では常行三昧という行を修めるお堂として、常行堂と呼んでいるそうです。
1171年建立の、国宝三重塔。この時代の塔が現存していることは珍しく、史跡としての価値も高いものだと言えます。石段の中間踊り場にあるのですが、そこから見上げるよりも、石段を上がった上から眺める方が塔の全景と景色が合わさって見事に見えます。春の新緑、秋の紅葉で、ここからの眺めは素晴らしいものだと思います。(観光ガイドなどでは定番の撮影ポイントになっているようです)
そして石段の頂上には本堂(金堂)。大悲閣とも呼ばれています。崖にせり出すように建てられており、石段から見える片側はまるで舞台のようになっています。本尊の聖観音立像(重要文化財)、そして左右には不動明王と毘沙門天像が祀られています。但し、どの仏様も厨子内に安置された秘仏となっていますが、2009年に半年ほどの期間だけ、実に22年ぶりに開帳されたそうです。次に拝観できるのはいつになる事やら、、、(厨子の外には二十八部衆と風神・雷神像が祀られています)
中で御朱印をもらえるほか、お札やお守りなども買うことが出来ます。冬の寒い時期にお参りしましたが、中はストーブとホットカーペットで暖かく、ゆっくり寒さを気にすることなくお参りできました。
本堂から200mほど歩くと奥の院の開山堂。少し奥まった場所にあるので、参拝される人もまばらでした。開山の祖である法道仙人をお祀りしているそうですが、中は固く閉められていて見ることはできません。
境内には様々なお堂もあり、鎮守諸堂と呼ばれています。毘沙門天をお祀りしている護法堂。弁財天をお祀りしている弁天堂、妙見菩薩をお祀りしている妙見堂。
そして役行者、前鬼後鬼をお祀りしている行者堂。
また、一乗寺には、国宝の聖徳太子及び天台高僧像10幅があり、宝物館に所蔵されているとのこと。聖徳太子と、最澄など9人の天台宗の高僧を描いた絵で、平安時代に描かれた貴重なものです。
西国(27) 山上に広がる広大な寺院都市 円教寺
書写(寫)山 円(圓)教寺(えんきょうじ) 天台宗
癒しのポイント
姫路市にある書写山上に広がる寺院都市ともいうべき、西国三十三所のなかでも最大規模を誇るお寺です。天台宗では比叡山延暦寺と並び、「西の延暦寺」とも呼ばれるほどに寺格の高いお寺です。静寂な山の上を歩きながら様々なお堂を巡るのも楽しいと思います。
・・・事前調査不足に反省です。
姫路方面に出かける機会を生かして参拝しようと行ったものの、現地に着いてみると、、、、唯一の交通手段であるロープウェイが定期点検のために運休との事。
1月中旬、まさに運休開始の直後でした。徒歩で1時間ほどの登山道と言っても良い山道を上がるしか代替手段はありませんので、3月の運行再開を待つしかありません。
お寺への行き方
最寄り駅はJR山陽本線の姫路駅。JR大阪駅からは新快速で1時間強です。JR新大阪駅から新幹線を利用すると30分で着きますが、姫路駅に停車する新幹線は少ないので、待ち時間などを考えると、ほとんど時間差はありません。
姫路駅からは神姫バス「書写ロープウェイ」行きに乗って30分(2020年1月現在、280円)。そこからは書写山ロープウェイの山麓駅から山上駅まで(往復1000円)。
山上では入山時に志納金500円がかかります。また、山上駅から観音菩薩をお祀りしている摩尼殿まで徒歩で30分ほどかかりますので、体力に自信のない方は、特別志納金500円を別途納めることで、山上を定期運行しているマイクロバスに乗ることが出来ます。
参拝の記録
今回、私の事前調査不足で、まさかの登山不可能となってしまい、山上での参拝が出来ませんでしたが、書写山ロープウェイの山麓駅の構内に観音菩薩をお祀りしていましたので、そちらに参拝をしてきました。
駅の構内に祭壇が設置されていました。ご本尊の六臂如意輪観音ではありませんが、山上から観音菩薩を移してお祀りしていました。今回は、こちらで参拝となります。御朱印もこちらで頂きました。
山麓駅から、遥か山上を眺めながら再度の来訪に思いを馳せました。
御朱印は「摩尼殿」(山上で観音菩薩のお祀りしている摩尼殿)。
西国(5) 1041本の手を持つ文字通りの千手観音 葛井寺
癒しのポイント
葛井寺のポイントは、国宝でもある十一面千手千眼観世音菩薩座像でしょう。胸の前で2本の手が合掌しており、背後には実に1039本もの手があります。合計すると1041本。その手の全てには目が描かれているということです。秘仏とされていますが、毎月18日に開帳されお姿を見ることが出来ます。
実は、千手観音の手の本数は、いくつかのバリエーションがあり、1000本ではなく、42本の千手観音がよく見られます。胸の前で2本の手が合掌しており、背後に40本の手が伸びている姿です。千手観音は1本の手で、天上界から地獄界まで25の世界を40回救うとされており、背後に40本の手がありますので、世界を25×40=1,000回も救ってくださるそうです。
葛井寺の千手観音は本当に1000本を超える手がありますので、そのご利益はとても大きなものでしょうが、参拝をすると、欲深い思いになるよりも、逆に身が引き締まる気になります。
あかん河内の葛井寺 伝説
葛井寺には、”あかん河内の葛井寺”という呼び名があります。かつて河内(今の大阪府東部で藤井寺市を含みます)で名を馳せていた藤井安基と言う荒くれ者が、死んで地獄で苦しんでいる時に、千手観音が現れて「人の為に尽くすように」とお告げをして、葛井寺の境内に生き返らせたそうです。そこで改心した藤井安基は、当時廃れていた葛井寺を再興に尽くしたとのことです。
藤井安基のような、あかん(だめという大阪弁)男でも、観音菩薩は救ってくれるとして、信仰を集めたということです。
ちなみに、この藤井安基の功績をたたえて、この地を「藤井」寺と称するようになったと言われています。
お寺への行き方
最寄り駅は近鉄南大阪線の藤井寺駅。JRとの接続駅の阿部野橋駅(JR天王寺駅の道路を挟んだ向かい側です)から、準急で15分弱。とても便利な場所にあります。藤井寺駅は、急行や特急は停車しませんので要注意です。藤井寺駅からは商店街を抜けて300m、徒歩で5分の距離です。
かつて存在したプロ野球球団の近鉄バッファローズの本拠地、藤井寺球場がありましたが、いまは取り壊されて学校になっています。
参拝の記録
東大寺の大仏建立を指揮したと言われている行基の開創と伝えられています。もともとは、7世紀ごろにこの地域にいた豪族の葛井連(ふじいのむらじ)の氏寺だったとも伝えられています。後の世で廃れてしまった葛井寺を再興したのが、「あかん河内の・・」で登場した藤井安基です。
立派な山門(南大門)が本堂の正面にあります。朱の色が褪せていますが、風格のある堂々たる門です。
本堂には、本尊として十一面千手千眼観世音菩薩坐像がお祀りされています。普段は見ることが出来ませんので、毎月18日のご開帳時にお参りすることをお勧めします。横には納経所も併設されていて、こちらで御朱印を頂くことが出来ます。
境内は小ぶりですが、かつては2キロ四方にも及ぶ広大な敷地に、2塔7堂を擁する伽藍があったそうです。いまでも、護摩堂、阿弥陀堂、弘法大師堂があります。
もう一つの山門である四脚門は、豊臣秀頼が建立したと伝えられており、重要文化財に指定されています。藤井寺駅から歩くと、まずこの四脚門が出迎えてくれます。元々は、南大門として建立されたそうですが、後にここに移築されたとのこと。
御朱印は「大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。
西国(20) 秋には絶景、猪の地ならし逸話もある 善峯寺
西山 善峯寺(よしみねでら) 天台宗
癒しのポイント
善峯寺のポイントは何といっても、この絶景。京都の街を西から眺めることができる珍しいスポットだと思います。京都の東側の山には高名なお寺が沢山あり、そこから京都の街を眺めることが出来ますが、この善峯寺は逆の方角からの眺めを楽しめます。静かな佇まいのなか、ゆっくりと座って眺めを味わうのがお勧めです。私が参拝したのは冬ですが、実は秋がこのお寺のシーズン。2005年のJR東海さんのCMにも使われるほど、紅葉がとても素晴らしいそうです。ぜひ次回は私も秋に来たいです。
JR東海の2005年CM。
「そうだ、京都行こう」で紹介された紅葉が見事な善峯寺。
猪の地ならし伝説
日本書紀(崇神天皇の章)に「日(ひる)は人作り、夜は神作る」と伝えられる倭迹迹日百襲姫(ヤマトトビモモソヒメ)の墓(箸墓古墳)の逸話がありますが、この善峯寺にもそのような伝説があります。
『西山良峯寺縁起』によると、開山の祖である源算上人が、善峯寺の前身となった法華院の建立しようとしましたが、もともと岩が多い山の上ゆえに難工事に苦労していました。ある時、一人の僧が源算上人の夢枕に立ち、援助を約束します。すると、猪の大群が一夜にして岩山を砕き、そして地をならして平地となしたそうです。その地に建つのが今の善峯寺ということです。まさに「昼は人が作り、夜は猪は作ったお寺」ですね。
お寺への行き方
最寄り駅はJR京都線(東海道本線)の向日町駅。あるいは阪急京都線の東向日駅から、阪急バスが出ており、66系統の「善峯寺行き」に乗って約10分、終点善峯寺バス停下車です。
自家用車の場合は、向日市街地から府道208号線を西に6.5km。京都縦貫道を使われる方は大原野ICが最寄りになりますが、細い地道を通って府道208号線に出なければならないので、カーナビ必須かもしれません。(寺のWebサイトに文字で道順が書ていますが、複雑です・・・)。府道横の門前に有料駐車場があります(普通車500円)。駐車場から山門までは歩いてすぐです。
京都を見下ろす山の上にあるお寺ですので周囲には何もありません。山を1kmほど下ると(府道208号線を東方向)、お土産や休憩が出来る茶店があります。
参拝の記録
風雪に耐えて黒くなった木と、木口に塗られた白のコントラストが鮮やかな山門。元々は楼上に本尊の文殊菩薩と脇仏が祀られていたそうですが、いまは境内にある別の場所の文殊寺宝館に移されています。楼下に守る仁王さん(金剛力士像)は、運慶作と伝えられています。ここで入山料500円を払って境内に入ります。
本堂の観音堂には本尊として千手観世音菩薩がお祀りされています。脇本尊も同じく千手観世音菩薩。納経所が併設されていて、こちらで御朱印を頂くことが出来ます。
境内は広大で約3万坪。順路に沿って歩くと30~40分かかります。その中には様々なお堂があり、写真は釈迦堂。腰痛神経痛に霊験あらたかとの事です。他にも薬師堂、阿弥陀堂(現在修復中)などもあります。
護摩行を行う護摩堂。本尊は五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五尊)です。
愛染明王がお祀りされている多宝塔。愛染明王は我々衆生を、あらゆる苦悩から救る仏様として信仰を集めています(愛染明王十二大願)。大日如来の化身とされ、我々の煩悩を炎で焼き払ってくれると言われています。
日本一の松ともいわれる、遊龍の松。樹齢は600年を超え、全長は37mにもなります。写真の松はたった1本の松が、臥龍が遊ぶように広がっているさまになっており、この名がつけられました。かつては50mを超えていたそうですが、松くい虫の被害により、現在はこの長さとなっているようです。とても見事な松です。
御朱印は「大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。
西国(21) 身代わり観音・安寿と厨子王丸の逸話が残る、穴太寺
菩提山 穴太寺(あなおうじ あなおじ、あなおでら、とも呼びます) 天台宗
癒しのポイント
小さなお寺ですが、多くの伝説が残る、歴史を感じさせるお寺です。身代わり観音の逸話も惹かれますが、私は子供の頃に見た「安寿と厨子王丸」の逸話の方が身近に感じます。悲運の姉弟の物語に思いを馳せながら参拝するのも良いものです。
安寿と厨子王丸の伝説
国守だった岩城判官正が、周囲の讒言に陥れられ左遷をされてしまう。幼い安寿と厨子王は、母親とともに、父である正氏に会うために旅に出ます。しかし、その道中に悪い人買いに騙されれしまい、母親は佐渡、そして姉弟は丹後の山椒太夫に売り飛ばされます。
山椒太夫に奴隷として酷使される中で、安寿は厨子王だけでも逃がそうと画策します。逸話では、逃亡に失敗してしまい捕まってしまった時、罰として安寿の額に焼け火箸を当てられるのですが、肌守りの観音菩薩が身代わりとなって痕がつかなかったと伝えられています。
その後、二人は逃げることに成功しますが、安寿は厨子王を逃がしきるために犠牲となり、肌守りの観音菩薩を厨子王に託して、沼に身を投げてしまうという悲劇が待っています。その際に、逃亡中の厨子王をかくまったお寺の一つが、この穴太寺と言われています。今でも、肌守りの観音菩薩がお祀りされており、普段は秘仏ながら、特別拝観などの際にはお姿を見ることが出来るようです。
後日談では、厨子王は、父に着せられた汚名を取り除くことに成功し、自らが国守に任じられるとともに、父・姉の仇討も果たすことになります。
身代わり観音伝説
その昔、この地を治める郡司であった宇治宮成は、信心の篤い妻の勧めで、高名な仏師であった感世に、自分の馬を褒美にする代わりに聖観世音菩薩像を彫らせます。彫りあがった観世音菩薩像を受け取り、仏師感世に褒美の馬を与えるものの、やがて褒美の馬が惜しくなり、与えた馬に乗り帰路についた仏師感世を弓矢で殺し、馬を取り返したのです。
ところが、馬をつれて家に帰った宇治宮成が見たものは、仏師感世に放ったはずの矢が観世音菩薩像に刺さっており、赤い血を流していたのです。観世音菩薩は、殺されようとした仏師感世の身代わりとなって、矢を受けたのです。同時に、宇治宮成が人殺しの罪を負わないようにとの慈悲の心でもあり、宇治宮成は改心して観世音菩薩を信奉することになったということです。
傷を負った観世音菩薩は、宇治宮成の夢枕に立ち、穴太寺の薬師如来に癒してもらいたいと願った事から、この穴太寺にお祀りされることになったと言われています。(残念ながら、この本尊となる聖観世音菩薩像は昭和43年に盗難に遭い、いまだ行方不明だそうです。現在、お祀りされている観世音菩薩は後に模造されたものとのこと。)
お寺への行き方
最寄り駅はJR嵯峨野線(山陰本線)の亀岡駅。亀岡駅からバス(京阪京都交通)が出ており、34系統、あるいは59系統の「穴太寺前(循環)」に乗って約10分の穴太寺バス停下車、 そこから徒歩10分です。
自家用車の場合は、亀岡市街地から国道372号線を西に3kmほど走り、亀岡運動公園交差点を南に1kmです。境内に駐車場は無く、門前の有料駐車場を利用する必要があります(普通車500円)。門前には数軒の商店があります。
またお寺の東側隣は、日本画で有名な円山応挙誕生の地とのこと。
穴太寺から、西国二十番札所の善峯寺までは、京都縦貫自動車道・国道478号線を経由して車で約30分(約20km)です。お時間に余裕がある方は、同時にお参りをするのが便利かと思います。
参拝の記録
狭い路地に突如現れる山門。知らなければ歴史のある古刹とは思わず通り過ぎてしまいそうです。西国三十三所札所の石碑が立っているのでわかります。
本堂には本尊が二尊、薬師如来、そして聖観世音菩薩が祀られています。薬師如来は完全な秘仏でいままで開帳されたことが無いそうです。聖観世音菩薩は三十三年に一度のご開帳で拝顔することが出来ます。
また、脇には、不動明王、阿弥陀如来、そして釈迦如来涅槃像があります。釈迦如来は涅槃像(横になって涅槃の境地に至っている)で、実際に身体をさすることができます。釈迦如来の身体をさすることで病気が治ると伝えられています。(なで仏と呼ぶそうです)
そして、脇には古い多宝塔があり、中には釈迦如来と多宝如来がお祀りされています。
御朱印は「聖大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味、頭に聖がついているのは珍しいですね)。
西国(22) 亀に乗った観音様がいらっしゃる、総持寺
癒しのポイント
ぼけ封じの普悲観音、「この世の一切の汚れを焼き尽くす」と言うトイレの神様で有名な烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)など、街中の比較的小ぶりなお寺ながら、ご本尊以外にも特徴ある様々な仏様がお祀りされているので、この一か所で何か所も参拝したような気分になります。
亀の恩返し伝説
総持寺縁起絵巻に、総持寺を開いた藤原山蔭にまつわる亀の話が伝わっています。平安時代、藤原氏の流れをくむ藤原高房と言う人物がいたそうです。ある日、高房は漁師に捕らえられていた大亀を自身の着物と引き換えに救います。ほどなくして高房は、息子である山蔭を謀略で川に捨てられてしまう。嘆き悲しんだ高房は日ごろから信仰している観音菩薩に祈念したところ、先に助けた亀に乗って山蔭が返ってきたという逸話です。高房の没後、山蔭は観音菩薩の恩に報いるために寺院を建立してお祀りをしたとのことです。
ご本尊は、千手千眼観世音菩薩。逸話のごとく亀に乗った珍しい観音菩薩ですが、秘仏となっており、ご開帳のタイミングでなければ見ることはできません。
また、山蔭は包丁道の創始者としても知られており、4月18日には包丁式とよばれる神事が毎年行われます。
お寺への行き方
最寄り駅はJR京都線のJR総持寺駅から東に徒歩で5分。阪急京都線の総持寺駅からでも西に徒歩で5分。街の真ん中にある少し小高い丘にあるお寺で、交通の便はとても良いです。街中にありますので、門前町などは無く、普通の商店が点在した場所です。
参拝の記録
駅から歩くことわずか5分で、総持寺に到着します。階段を上がった丘の上に、立派な山門と仁王さんが待ち構えてます。
境内はこじんまりとしており、本堂には千手千眼観世音菩薩(秘仏)がお祀りされていますが4月18日の包丁式前後にはご開帳があるようです。
そして、その横にあるのが大師堂。このほかにも、ぼけ封じにご利益があるという普悲観音をお祀りする観音堂、薬師如来をお祀りする薬師堂、如来荒神をお祀りする荒神社、不動明王堂など、それぞれは小さな建物ですが。境内にうまく配置されています。
御朱印は「大悲殿」(観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。
西国(番外) 尼寺でないのに”尼寺”のお寺、花山院菩提寺
癒しのポイント
里山にある昔ながらのお寺という風情。深山幽谷と言ったけわしさを感じる山寺ではなく、懐かしいような穏やかな雰囲気に癒されます。展望所から見る山並みとはるかに望む街の景色を眺めていると時間を忘れてしまいそうです。
お寺の概要
第二十五札所である播州清水寺と同じく、天竺(インド)から渡来の法道によって創建されたと伝えられています。三田市街地から7.4km(車で約15分)、標高400mの東光山山頂にある小さな山寺です。
その昔、死の淵にあった徳道上人が閻魔大王から三十三の宝印を授かり、現世に生き返り三十三の観音霊場巡礼を広めようとしたものの、なかなか人々に広まらず、後世に思いを託して宝印を中山寺(第二十四番札所)にて石棺に埋めたとの言い伝えがあります。
後に、その宝印を探し出して、三十三の観音霊場巡礼を再興し、普及に努めたのが、花山法皇であり、その功を称して中興の祖と呼ばれています。この花山院は、花山法皇が巡礼の際に特に気に入った地として隠居生活を長く過ごした場所であり、いまもその菩提を祀っています。
十二尼妃の墓伝説
花山法皇が出家をする前、帝の位にあった時に、帝の寵愛を受けた藤原忯子(宮中弘徽殿に住まわれていたので弘徽殿女御(こきでんのにょうご)と呼ばれていた)。その方は帝のお子をご懐妊されるも命を落としてしまうことになります。
後に、この地に隠棲された花山法皇を慕う11人の女官たちが、弘徽殿女御の菩提を弔う為にこの地に来たものの、東光山の山頂にあるお寺は女人禁制だったために、尼となり山の麓に居を構えたとのことです。いつしか、その地域を尼寺(にんじ)と呼ぶようになり、今もそこには弘徽殿女御と11人の尼となった女官のお墓があります。
「大鏡」などにも花山天皇の逸話が残されています。歴史に触れながら、静かな山寺を散策するのも良いかと思います。
お寺への行き方
最寄り駅はJR福知山線の三田駅で、神姫バスが1時間に1便でており、花山院停留所で下車の後、1km強の急な山道を登らなくてはなりません。体力に自信のない方はタクシーか自家用車で山門まで上がることが出来ますので、そちらの方がお勧めです。
参拝の記録
山門前には無料の駐車場があり、また特に拝観料もかかりません。小さく質素ながらも、立派な山門です。
山門から階段を上がると、こじんまりとした境内に出ます。写真は境内一番奥からで、手前が薬師堂(本堂)、そして花山法皇殿(こちらも本堂)です。この先に、三宝荒神を祀っている荒神堂と寺務所・納経所、不動堂があります。ご朱印は寺務所の納経所で拝受できます。
不動堂の横には展望所があり、山上の見晴らしの良い場所から、山々や三田の街が一望できて、とても良い気分になります。(天気がよければ、遠く瀬戸内海や小豆島も見ることが出来るそうです)