日本を巡るお寺・神社の旅

癒しを求め、各地を旅しながらお寺や神社をお参りした時の記録。

西国(26) 深山に鎮座する見事な大伽藍 一乗寺

西国二十六番札所(兵庫県加西市

法華山 一乗寺(いちじょうじ) 天台宗


癒しのポイント

 一乗寺のポイントは深山に鎮座する大伽藍。斜面にせり出すように作られた立派な建築でもある大悲殿と呼ばれる本堂(金堂とも呼ばれる)、そして、1171年に建立された日本でも最古の部類に入ると言われる国宝三重塔。深い山に囲まれた静かな地で、歴史ある建物を散策するのは気持ちがいいものです。春は散歩がてら、秋は紅葉を愛でながら悠久の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

 ちなみに京都市左京区にも一乗寺と呼ばれる地域があり、一般に一乗寺と言うと京都を思い浮かべる人の方が多いかもしれません。かつてその地域に一乗寺と称するお寺があったそうですが、お寺は現存しておらず地名だけが残っています。


天竺から来た法道仙人 伝説


 播磨地域に多くの寺を開いたと伝えられる法道(法道仙人と呼ばれることも)。この一乗寺も法道の開基と言われています。法道は「天竺(インド)から紫の雲に乗って飛来した」と言われている人物で、紫の雲・・云々は後世の創作としても、西暦600年台当時に、なんらかの関係があった人物が実在していたのではないか、と伝えられています。
 一乗寺については、次のような伝承があります。法道がインドから中国・朝鮮半島を経て日本に”紫の雲”で飛来した時、当時の播州国(現在の兵庫県加西市)に八葉の形をした山をみつけ、そこに降り立ったとの事。そこが現在の一乗寺がある「法華山」です。その後、法道の神通力の評判を聞いた帝(孝徳天皇)の病気を快復させたことから、帝はこの法華山に寺を建立させるに至ったということです。
 ちなみに、八葉とは仏教において、8つの花びらをもった蓮華を指し、密教胎蔵界曼荼羅の中央描かれています。中央に大日如来,そして8つの葉に4人の如来と4人の菩薩がお座りになられている姿を指します。聖地、高野山も、その地形から八葉になぞらえられることは有名です。

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胎蔵界曼荼羅図(高野山霊宝館所蔵)

お寺への行き方


 公共交通機関で行く場合は、JR山陽本線JR神戸線)姫路駅から神姫バス「71 法華山一乗寺・別府経由 社」行きに乗り約40分で法華山一乗寺バス停を下車です。他にも、北条鉄道法華口駅、JR山陽本線宝殿駅からもバスが出ているようです。
 またJR大阪駅から加西・津山方面に向かう高速バスでアスティアかさい(北条町駅)下車し、そこかた神姫バスあるいはタクシーという手段もあります。
 自家用車の場合は、国道372号線を三口西交差点(下記地図の〇印の場所)で県道206号線で南下すると山門前に着きます。加西市の市街地からは車で約20分です。山陽自動車道経由の場合は加古川北ICを降りて、県道43を北上して途中で県道206号線に入るルートを辿ります。こちらも車で約20分です。
 山門前にある駐車場は有料で、普通車は300円です。

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一乗寺周辺

参拝の記録


 駐車場のすぐそばに境内への入り口があります。前を県道206号線が通っており、道に迷うことはありません。入り口前には小さいながらも休憩所(お土産物も販売している様子)と公衆トイレもあります。

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境内入り口

 一般的に、寺の入り口には山門がありますが、ここにはありません。実はここから県道206号線を加西市街方面に600mほど行ったところに、見落としてしまいそうな小さな山門(東門)があります。山門には、かつて徒歩で参詣したのであろう小さな参詣道が続いています。また、一乗寺から逆の方向に600mほど行ったところには、同じく小さな山門(西門)があります。車で走るときは見落とさないように。

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山門(東門)

 入り口で、拝観料500円を払い、境内に入るとすぐに石段が目の前に迫ってきます。162段あるらしく、かなりきつい感じがしますが、頂上までの途中にお堂があるため、散策しながら登っていると、それほどきつくはありません。

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162段の石段

 石段の途中にある常行堂阿弥陀如来を本尊として祀っていますが、天台宗では常行三昧という行を修めるお堂として、常行堂と呼んでいるそうです。

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常行堂

 1171年建立の、国宝三重塔。この時代の塔が現存していることは珍しく、史跡としての価値も高いものだと言えます。石段の中間踊り場にあるのですが、そこから見上げるよりも、石段を上がった上から眺める方が塔の全景と景色が合わさって見事に見えます。春の新緑、秋の紅葉で、ここからの眺めは素晴らしいものだと思います。(観光ガイドなどでは定番の撮影ポイントになっているようです)

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国宝三重塔

 そして石段の頂上には本堂(金堂)。大悲閣とも呼ばれています。崖にせり出すように建てられており、石段から見える片側はまるで舞台のようになっています。本尊の聖観音立像(重要文化財)、そして左右には不動明王毘沙門天像が祀られています。但し、どの仏様も厨子内に安置された秘仏となっていますが、2009年に半年ほどの期間だけ、実に22年ぶりに開帳されたそうです。次に拝観できるのはいつになる事やら、、、(厨子の外には二十八部衆と風神・雷神像が祀られています)
 中で御朱印をもらえるほか、お札やお守りなども買うことが出来ます。冬の寒い時期にお参りしましたが、中はストーブとホットカーペットで暖かく、ゆっくり寒さを気にすることなくお参りできました。

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本堂

 本堂から200mほど歩くと奥の院の開山堂。少し奥まった場所にあるので、参拝される人もまばらでした。開山の祖である法道仙人をお祀りしているそうですが、中は固く閉められていて見ることはできません。

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開山堂

 境内には様々なお堂もあり、鎮守諸堂と呼ばれています。毘沙門天をお祀りしている護法堂。弁財天をお祀りしている弁天堂、妙見菩薩をお祀りしている妙見堂。
 そして役行者、前鬼後鬼をお祀りしている行者堂。

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護法堂

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左が弁天堂、右が妙見堂

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行者堂

 また、一乗寺には、国宝の聖徳太子及び天台高僧像10幅があり、宝物館に所蔵されているとのこと。聖徳太子と、最澄など9人の天台宗の高僧を描いた絵で、平安時代に描かれた貴重なものです。


御朱印


 御朱印は「大悲閣」(聖観音菩薩をお祀りしている本堂の名前)

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御朱印

 

新五国風土記 ひょうご彩祭

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