西国(25) 雲海に浮かぶ山上の聖地、播州清水寺
癒しのポイント
清らかな水の湧き出る深い山に囲まれた、まさに修行の地と言えそうな厳かな雰囲気を感じさせるお寺です。静寂とひんやりとした空気に、気持ちも引き締まる気分になります。これもお寺参りの醍醐味かもしれません
お寺の概要
天竺(インド)から渡来の法道によって1800年前に創建されたと伝えられる古刹。山に囲まれた標高500mの奥地にある静かなたたずまいのお寺です。寺名は清水寺ですが、京都の清水寺と区別するために、播州清水寺と呼んでいるそうです。
1800年前と言うと、歴史上の仏教伝来以前の話(所説ありますが西暦538年と言われている)ですが、法道が紫の雲に乗って天竺からやってきた、との伝説は後世のものとしても、なんとなく厳かな雰囲気を感じます。
その昔、法道の祈念で湧きあがったと伝えられる”おかげの井戸”があり、その清らかな湧き出る水から寺の名前がついたとのことです。おかげの井戸に顔を映すと、寿命が3年延びると言われています。
お寺への行き方
最寄り駅はJR福知山線の相野駅で、神姫バスが1日に2便でています。運賃は片道600円。本数が少ないので、うまくタイミングが合わないと不便かもしれません。車であれば、舞鶴若狭自動車道の三田西、あるいは中国自動車道のひょうご東条が最寄りです。国道372号線の上鴨川交差点を東に7.5kmです。一般道から急な坂道の参道が3kmほど続きますので徒歩ではかなり厳しいと思います。道は良好なので、車での移動には困りません。
参拝の記録
山に上がる途中に料金所があり、入山料(拝観料)大人500円がかかります。仁王門前には無料の駐車場がありますが、実質、入山料が駐車料のような感じですね。
仁王門をくぐり、そこから大講堂や根本中堂までは500mほど参道を歩くことになります。しずかな風の音を聞きながら歩くと気分が良いものです。山内の各お堂は過去の火災などによって消失してしまい、現存するのは大正から昭和にかけて再建されたものです。
最初に姿を現すのは、薬師堂。小さなお堂ですが、立派な薬師如来が安置されています。
そして、その横にあるのが大講堂。千手観音座像を拝観することが出来ます。堂内は広く、冬場には暖房も入っているので快適です。この中に納経所があります。
そして大講堂の横の階段を上がると、根本中堂。本尊の十一面観音菩薩は秘仏のため、中は見れません。この観音菩薩は開山の祖、法道の手になるものだそうです。
山の起伏を上手く使っているので、点在するお堂がそれぞれに違った趣を感じさせます。ゆっくりと散歩をしながら歴史に思いをはせるのもいいかもしれません。
山を下って10km(車で約18分)ほど走ると、陶器で有名な丹波立杭焼の里があり、窯元めぐりや、陶芸美術館を散策するのも良いかと思います。
御朱印は「大講堂」(西国三十三所の札所の場所が大講堂になっているので)
西国(23) 勝負、受験、商売に”勝つ”なら、勝尾寺
癒しのポイント
境内の至る所に置かれている大小さまざまな、だるま。奉納した人たちの、それぞれの思いや願いが詰まったものなので、それを眺めている私もなんだか元気をもらえそうな。風雨にさらされながらも、健気に座っている小さなだるまも可愛いものです。
お寺の概要
創建、神亀四年(727年)の古刹。名前にあやかり”勝負に勝つ”と言うことで勝負事の寺として有名ですね。勝負事や合格祈願、商売繁盛などのご利益を求めて多くの参拝者の方が訪れています。
「古刹」とは、古く歴史のある名高い寺の事で、「刹」とは古代インドのサンスクリット語の寺を意味する言葉の音を当て字したもの
お寺への行き方
最寄り駅は阪急箕面線の箕面駅、そこからは徒歩で約8kmありますので、途中の箕面大滝を経て歩いて山門まで1時間半。少し足の遅い方ならば2時間以上はかかります。箕面駅からはタクシーに乗ると15分ですが、帰りの足を確保しておかないと、呼んでもすぐに来てくれないことがあります。
北大阪急行線の千里中央駅からは路線バスがありますが、平日は3便、土日休日は6便のみなので、時間の確認は必須です。
公共交通機関が不便なので、多くの方は自家用車の利用になるかと思います。駐車場は有料で2時間まで500円とのこと。なお、勝尾寺へ向かう道路は、原付・バイクなど二輪車は通行禁止(警察で乗り入れ許可を受ける必要あり)なので注意してください。
私は、お正月にお参りしたので、途中の道路は「激混み」。箕面大滝あたりから4km近く、車がほとんど動かない渋滞となっていましたので、タクシーを降りて坂道をひたすら徒歩で向かいました。
参拝の記録
山中なのでいわゆる門前町はありませんが、境内に休憩所があり、そこで休憩やお食事ができます。
入り口で入山料(大人400円)を払い、いかにも”勝ち”に縁起がよさそうな山門をくぐると、広い境内が広がります。
まず目につくのが弁天池。池の中には弁天様を祀っている弁天堂が浮かんでいます。スモークが立ち上っているので(そういう演出っぽい)、なんとなく浄土に来たような気分になります。インスタ映えするのか、皆さん写真を撮っていました。
境内の至る所に大小さまざまな「勝ちだるま」が奉納されています。勝尾寺では、だるまを「勝ちだるま」と呼んで心願成就の縁起物としています。受験生には合格だるまとして、ここのだるまが人気です。
だるまさんに見守られながら階段をあがると、最初にあるのが三宝荒神。荒神さんは、頭髪を逆立てて眼を吊り上げ、暴悪を治罰するための憤怒の表情をしていて、不浄や災難を追い払う神様です。関西では宝塚市の清荒神、和歌山県の立里荒神と並び、信仰の対象となっています。
そして、本堂。ご本尊は、十一面千手観世音菩薩。
お正月の参拝では、勝負運のお寺ということで企業の参拝者が多数来られていました。また、参拝者には「勝ちだるま」、「勝守」など、勝負運や合格祈願などのお守りが飛ぶように売れていて、ご利益を求める人の多さに驚きました。
また境内には弘法大師を祀った大師堂、不動明王を祀った不動堂など、多くのお堂がありますので、時間があれば、それらを散策しながら参拝するのも良いものです。
御朱印は、「大悲殿」(観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。
西国(24) 子供と女性にご利益大、日本最古の観音霊場 中山寺
癒しのポイント
全国から参拝者が来る街の大きなお寺なのでにぎやかですが、悪い意味での騒がしさはありません。年中行事の際には、参道に屋台が並ぶこともあり、ちょっとした縁日気分も味わえます。お宮参りや七五三など、子供の慶事での参拝も多いので、活気があって明るい気分になります。
お寺の概要
聖徳太子が開いた1400有余年の歴史を持つ由緒あるお寺で、一般には安産祈願や子授け祈願で有名です。
犬の安産にあやかり、暦の上での戌の日に安産祈願のお参りにゆく”戌の日参り”で、遠く関東や九州地方からも、お参りに来られます。また子供が生まれた時に、男の子が三十一日目、女の子は三十二日目にすると言う”初参り(お宮参り)”、男の子が三歳と五歳に、女の子は三歳と七歳にお参りする”七五三”(年齢は満年齢でも数え年でもどちらでもよいそうです)など、年中参拝者が絶えません。
また、二塔一金堂の立派な伽藍のなかには多くの小さな寺院があり、それぞれに仏様をお祀りしています。
子・丑・寅・卯・・・の、干支の十二支は、年だけでなく、日にも当てられます。なので12日に1回、「戌の日」があります。神社やお寺にお参りして、腹帯を頂き、それを巻くと良いとされています。
お寺への行き方
最寄り駅は阪急宝塚線の中山観音駅、歩いて山門まで数分の近さです。JR中山寺駅からでも歩けますが、1km弱(約15分)を歩く必要があります。
車の場合は、近隣に無料駐車場がないため、中山観音駅前南側の駐車場(有料、500円~)を利用することになります。数軒の駐車場がありますが、いずれもオジサン・オバサンが道路に飛び出んばかりに出てきて「こっちへおいで」と手招きするので、すぐに分かると思います。七五三や戌の日などは駐車場が満車になることもありますので要注意です。
中山観音駅からは、短いながらも、門前町があり数軒の土産物屋さんと、お食事などができる飲食店があります。
参拝の記録
山門から本堂までの参道両脇にはいくつかのお堂があり、各干支の守り本尊がお祀りされています。ちなみに、各干支の守り本尊は次の通り。皆さんも、ご自身の干支の守り本尊にお参りしてはいかがですか?
子 (大黒堂) 千手観音
丑寅(成就院) 虛空蔵菩薩
卯 (総持院) 文殊菩薩
辰巳(観音院) 普賢菩薩
午 (寿老神堂)勢至菩薩
未申(宝蔵院) 大日如来
酉 (総持院) 不動明王
戌亥(華蔵院) 阿弥陀如来
ご本尊は、十一面観世音菩薩。
また境内には弘法大師を祀った大師堂、七福神を祀ったお堂もあります。休憩所やお茶屋さんもあるので、疲れた時に一服する場所には恵まれています。
参道を歩いて、正面が本堂です。参道にはエスカレータなども設置されていますのでお年寄りでも安心。本堂から左手には朱塗りの立派な大願塔があり大日如来がお祀りされています。また本堂後ろをさらに上がると、弘法大師を祀る大師堂、そして釈迦如来の仏舎利が安置されている深青の青龍塔があります。そこから大阪~神戸が一望できるので眺めもいいです。
御朱印は、「大悲殿」(観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。
御朱印は、このほかにも計7種類あります。
一部は、境内奥の大師堂、そして山道を1.5kmほど登ったところにある奥の院で拝受できます。ただし奥の院はけわしい山道を登らなければならないので、軽装ではなく、軽いトレッキングを想定した服装が必要です。
西国三十三所巡り始めました
このブログは、私(James007)がお寺や神社をお参りした時の記録です。私が住んでいる関西の身近な場所から、遠く旅先での参拝まで、行って見たこと、感じたことを、思うがままに書き綴ってゆくつもりです。
読んでいただいた方にも、「あ、自分も、ここに行ってみたいな」と思って頂けると嬉しく思います。
まずは、今年(2020年)の年始より、西国三十三所巡りを始めましたので、その記録から書き綴って行こうと思います。
西国三十三所は、近畿から岐阜県にかけて点在する、三十三箇所の観音信仰の霊場(お寺)を指しています。四国八十八箇所霊場と並び、有名な巡礼対象の一つです。
その昔、養老二年(西暦718年)、大和長谷寺の徳道上人が死の淵に立った時に、閻魔大王が、「まだ死んではならぬ、人々を救いなさい」と徳道上人をこの世に生き返らせたという伝説が、この巡礼の起源になっています。
閻魔大王は、徳道上人をよみがえらせるにあたり、三十三の宝印を授け、その数に相当する三十三箇所の観音霊場を人々に巡礼させるべしと伝えたので、今日の西国三十三所巡りでお参りするお寺は、全て観音菩薩をお祀りしています。
観音菩薩は、いまなお悟りを開こうと修行をしている身にありながら、あらゆる人々を救おうとされている仏様です。仏教でいう所の六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上)のあらゆる場所で、人々を救うために様々な姿で現れるとされています。(三十三という数字は、観音菩薩が人々を救うときに三十三の姿に変化するという伝えに由来しています。)
煩悩の多い私ですが、観音菩薩にあやかりたいと思います。