西国(番外) 尼寺でないのに”尼寺”のお寺、花山院菩提寺
癒しのポイント
里山にある昔ながらのお寺という風情。深山幽谷と言ったけわしさを感じる山寺ではなく、懐かしいような穏やかな雰囲気に癒されます。展望所から見る山並みとはるかに望む街の景色を眺めていると時間を忘れてしまいそうです。
お寺の概要
第二十五札所である播州清水寺と同じく、天竺(インド)から渡来の法道によって創建されたと伝えられています。三田市街地から7.4km(車で約15分)、標高400mの東光山山頂にある小さな山寺です。
その昔、死の淵にあった徳道上人が閻魔大王から三十三の宝印を授かり、現世に生き返り三十三の観音霊場巡礼を広めようとしたものの、なかなか人々に広まらず、後世に思いを託して宝印を中山寺(第二十四番札所)にて石棺に埋めたとの言い伝えがあります。
後に、その宝印を探し出して、三十三の観音霊場巡礼を再興し、普及に努めたのが、花山法皇であり、その功を称して中興の祖と呼ばれています。この花山院は、花山法皇が巡礼の際に特に気に入った地として隠居生活を長く過ごした場所であり、いまもその菩提を祀っています。
十二尼妃の墓伝説
花山法皇が出家をする前、帝の位にあった時に、帝の寵愛を受けた藤原忯子(宮中弘徽殿に住まわれていたので弘徽殿女御(こきでんのにょうご)と呼ばれていた)。その方は帝のお子をご懐妊されるも命を落としてしまうことになります。
後に、この地に隠棲された花山法皇を慕う11人の女官たちが、弘徽殿女御の菩提を弔う為にこの地に来たものの、東光山の山頂にあるお寺は女人禁制だったために、尼となり山の麓に居を構えたとのことです。いつしか、その地域を尼寺(にんじ)と呼ぶようになり、今もそこには弘徽殿女御と11人の尼となった女官のお墓があります。
「大鏡」などにも花山天皇の逸話が残されています。歴史に触れながら、静かな山寺を散策するのも良いかと思います。
お寺への行き方
最寄り駅はJR福知山線の三田駅で、神姫バスが1時間に1便でており、花山院停留所で下車の後、1km強の急な山道を登らなくてはなりません。体力に自信のない方はタクシーか自家用車で山門まで上がることが出来ますので、そちらの方がお勧めです。
参拝の記録
山門前には無料の駐車場があり、また特に拝観料もかかりません。小さく質素ながらも、立派な山門です。
山門から階段を上がると、こじんまりとした境内に出ます。写真は境内一番奥からで、手前が薬師堂(本堂)、そして花山法皇殿(こちらも本堂)です。この先に、三宝荒神を祀っている荒神堂と寺務所・納経所、不動堂があります。ご朱印は寺務所の納経所で拝受できます。
不動堂の横には展望所があり、山上の見晴らしの良い場所から、山々や三田の街が一望できて、とても良い気分になります。(天気がよければ、遠く瀬戸内海や小豆島も見ることが出来るそうです)