日本を巡るお寺・神社の旅

癒しを求め、各地を旅しながらお寺や神社をお参りした時の記録。

西国(20) 秋には絶景、猪の地ならし逸話もある 善峯寺

西国二十番札所(京都府京都市西京区

西山 善峯寺(よしみねでら) 天台宗


癒しのポイント

 善峯寺のポイントは何といっても、この絶景。京都の街を西から眺めることができる珍しいスポットだと思います。京都の東側の山には高名なお寺が沢山あり、そこから京都の街を眺めることが出来ますが、この善峯寺は逆の方角からの眺めを楽しめます。静かな佇まいのなか、ゆっくりと座って眺めを味わうのがお勧めです。私が参拝したのは冬ですが、実は秋がこのお寺のシーズン。2005年のJR東海さんのCMにも使われるほど、紅葉がとても素晴らしいそうです。ぜひ次回は私も秋に来たいです。

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奥の院からの京都遠望

JR東海の2005年CM。
「そうだ、京都行こう」で紹介された紅葉が見事な善峯寺。


JR東海 そうだ、京都行こう。 2005年 秋 善峯寺編


猪の地ならし伝説


 日本書紀崇神天皇の章)に「日(ひる)は人作り、夜は神作る」と伝えられる倭迹迹日百襲姫(ヤマトトビモモソヒメ)の墓(箸墓古墳)の逸話がありますが、この善峯寺にもそのような伝説があります。

 『西山良峯寺縁起』によると、開山の祖である源算上人が、善峯寺の前身となった法華院の建立しようとしましたが、もともと岩が多い山の上ゆえに難工事に苦労していました。ある時、一人の僧が源算上人の夢枕に立ち、援助を約束します。すると、猪の大群が一夜にして岩山を砕き、そして地をならして平地となしたそうです。その地に建つのが今の善峯寺ということです。まさに「昼は人が作り、夜は猪は作ったお寺」ですね。

日本書紀 5冊 (岩波文庫)

日本書紀 5冊 (岩波文庫)

 

お寺への行き方


 最寄り駅はJR京都線東海道本線)の向日町駅。あるいは阪急京都線東向日駅から、阪急バスが出ており、66系統の「善峯寺行き」に乗って約10分、終点善峯寺バス停下車です。

 自家用車の場合は、向日市街地から府道208号線を西に6.5km。京都縦貫道を使われる方は大原野ICが最寄りになりますが、細い地道を通って府道208号線に出なければならないので、カーナビ必須かもしれません。(寺のWebサイトに文字で道順が書ていますが、複雑です・・・)。府道横の門前に有料駐車場があります(普通車500円)。駐車場から山門までは歩いてすぐです。

 京都を見下ろす山の上にあるお寺ですので周囲には何もありません。山を1kmほど下ると(府道208号線を東方向)、お土産や休憩が出来る茶店があります。

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善峯寺周辺

参拝の記録


 風雪に耐えて黒くなった木と、木口に塗られた白のコントラストが鮮やかな山門。元々は楼上に本尊の文殊菩薩と脇仏が祀られていたそうですが、いまは境内にある別の場所の文殊寺宝館に移されています。楼下に守る仁王さん(金剛力士像)は、運慶作と伝えられています。ここで入山料500円を払って境内に入ります。

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山門

 本堂の観音堂には本尊として千手観世音菩薩がお祀りされています。脇本尊も同じく千手観世音菩薩。納経所が併設されていて、こちらで御朱印を頂くことが出来ます。

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本堂(観音堂

 境内は広大で約3万坪。順路に沿って歩くと30~40分かかります。その中には様々なお堂があり、写真は釈迦堂。腰痛神経痛に霊験あらたかとの事です。他にも薬師堂、阿弥陀堂(現在修復中)などもあります。

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釈迦堂

 護摩行を行う護摩堂。本尊は五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五尊)です。

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護摩

天台宗のお寺ですが、弘法大師も。

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弘法大師

愛染明王がお祀りされている多宝塔。愛染明王は我々衆生を、あらゆる苦悩から救る仏様として信仰を集めています(愛染明王十二大願)。大日如来の化身とされ、我々の煩悩を炎で焼き払ってくれると言われています。

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多宝塔

 日本一の松ともいわれる、遊龍の松。樹齢は600年を超え、全長は37mにもなります。写真の松はたった1本の松が、臥龍が遊ぶように広がっているさまになっており、この名がつけられました。かつては50mを超えていたそうですが、松くい虫の被害により、現在はこの長さとなっているようです。とても見事な松です。

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遊龍の松

御朱印


 御朱印は「大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。

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御朱印

 

週刊 京都を歩く(39)大原野

週刊 京都を歩く(39)大原野

  • 作者: 
  • 発売日: 2004
  • メディア: 雑誌