西国(7) 悪龍改心の伝説、日本最古の厄除け寺 岡寺
東光山 岡寺(おかでら) 真言宗豊山派 別名:龍蓋寺(りゅうがいじ)
癒しのポイント
明日香村を眺める小高い岡の上にある、日本最初の厄除け霊場として知られているお寺です。歴史も古く、740年に書かれたとされる正倉院文書にも、龍蓋寺所蔵と書かれた仏典があると記されているそうです。
近くには蘇我馬子の墓と言われる石舞台古墳(岡寺から800m)、少し先には極彩色の女子群像で有名な高松塚古墳(岡寺から4km)、同じく壁画で有名なキトラ古墳などもあり、飛鳥時代に思いを馳せながら散策すると楽しいです。
悪龍退治の伝説
かつて飛鳥の地を荒らして民衆を困らせていた悪龍を、岡寺を創建したと伝えられる義淵僧正が法力によって封じ込めたという伝説があります。岡寺の中には、龍蓋池と呼ばれる池があり、悪龍はこの池に封じられ大きな石で蓋をされたそうです。この悪龍は、後に改心して善龍となり、いまでもこの池に眠っていると伝えられています。
この伝説ゆえに、岡寺は、古くは龍蓋寺(りゅうがいじ)と呼ばれていました。今では、正式名称は岡寺ですが、この古き名前も併せて残っています。
悪龍を法力で鎮め、改心させた伝説から、この岡寺は厄除け信仰の寺として知られることになります。
お寺への行き方
近鉄電車で大阪阿部野橋駅(JR天王寺駅横)から、急行で約45分の岡寺駅(特急は停車しません)、あるいは特急で約40分の飛鳥駅(急行も停車)が最寄りです。ただし、岡寺駅前からはバス・タクシーが無いため徒歩で1時間の道のりになります。飛鳥駅からはレンタサイクル(1日900円程度)で約20分ほどになりますが、途中の古墳散策などを考えているのであれば、良い選択かもしれません。
少し離れますが橿原神宮前駅(特急停車駅)の東口からは、バス(奈良交通)で岡寺前まで行くと、そこからは徒歩10分で到着します。いずれにしても、最後は500mほど山門までの少し急な坂を上る必要があります。
車であれば、奈良市内から約30km。国道169号線を吉野方面へ南下して、岡寺駅前を東に県道155号線を進みます。
参拝の記録
少し急な坂道を登り切ると入り口になります。入り口の少し下に小さな無料駐車場がありますが、狭い道を通ることになるので、慣れない人は避けた方が良いかもしれません。山下には寺とは関係がありませんが民営の駐車場があるそうです。入り口では入山料400円を納めて境内に入ります。
重要文化財にも指定されている山門(仁王門)。立派な仁王様と、屋根の軒下四隅に、「阿獅子」「吽獅子」「龍」「虎」の彫り物がある珍しいものです。
山門をくぐり、階段を上ると手前の小さな楼門(奥に書院があります)、阿弥陀三尊をお祀りする開山堂(納骨・回向堂でもあり、檀家の方々の法要はここで行われるようです)、そして塑像(土で作られた像)としては日本最大と言われる如意輪観音座像をお祀りする本堂。如意輪観音は、衆生のあらゆる苦しみを解き、世間の利益を与えてくれるという観音様。多くは六臂(腕が6本)で片膝をついた姿ですが、岡寺の如意輪観音は二臂で座像となっている珍しいものです。銅像の東大寺の廬舎那仏、木像の長谷寺の十一面観音、そして塑像の岡寺の如意輪観音は、日本三大仏と言われています。
本堂の奥には納経所があり、ここで御朱印を頂けます。
本堂から奥の院に向かう途中にある瑠璃井。弘法大師ゆかりの厄除けの水として知られています。現在は飲むことはできないそうですが、釣瓶が置いてあり汲み上げることが出来ます。私は、水を手にかけてきました。
奥の院までの途中にある鎮守の稲荷社。
本堂から山に向かって歩くこと約3分で奥の院です。とても小さなお堂で、岩に穴をくりぬいた洞窟(弥勒の窟と呼ぶそうです)で、奥には弥勒菩薩がお祀りされています。素朴な石造りの弥勒菩薩には神々しさを感じます。
大人だと、腰をかがめて入らなければならないほど小さな洞窟なので、頭上や足元には要注意です。
立派な三重宝塔。
大師堂と修業大師。
入り口には立派なしだれ梅。
御朱印は「厄除大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)