日本を巡るお寺・神社の旅

癒しを求め、各地を旅しながらお寺や神社をお参りした時の記録。

西国(5) 1041本の手を持つ文字通りの千手観音 葛井寺

西国五番札所(大阪府藤井寺市

紫雲山 葛井寺(ふじいでら) 真言宗御室派


癒しのポイント

 葛井寺のポイントは、国宝でもある十一面千手千眼観世音菩薩座像でしょう。胸の前で2本の手が合掌しており、背後には実に1039本もの手があります。合計すると1041本。その手の全てには目が描かれているということです。秘仏とされていますが、毎月18日に開帳されお姿を見ることが出来ます。
 実は、千手観音の手の本数は、いくつかのバリエーションがあり、1000本ではなく、42本の千手観音がよく見られます。胸の前で2本の手が合掌しており、背後に40本の手が伸びている姿です。千手観音は1本の手で、天上界から地獄界まで25の世界を40回救うとされており、背後に40本の手がありますので、世界を25×40=1,000回も救ってくださるそうです。
 葛井寺の千手観音は本当に1000本を超える手がありますので、そのご利益はとても大きなものでしょうが、参拝をすると、欲深い思いになるよりも、逆に身が引き締まる気になります。

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国宝十一面千手千眼観世音菩薩坐像国立博物館で展示された時のお姿)

あかん河内の葛井寺 伝説


 葛井寺には、”あかん河内の葛井寺”という呼び名があります。かつて河内(今の大阪府東部で藤井寺市を含みます)で名を馳せていた藤井安基と言う荒くれ者が、死んで地獄で苦しんでいる時に、千手観音が現れて「人の為に尽くすように」とお告げをして、葛井寺の境内に生き返らせたそうです。そこで改心した藤井安基は、当時廃れていた葛井寺を再興に尽くしたとのことです。
 藤井安基のような、あかん(だめという大阪弁)男でも、観音菩薩は救ってくれるとして、信仰を集めたということです。
 ちなみに、この藤井安基の功績をたたえて、この地を「藤井」寺と称するようになったと言われています。


お寺への行き方


 最寄り駅は近鉄南大阪線藤井寺駅。JRとの接続駅の阿部野橋駅(JR天王寺駅の道路を挟んだ向かい側です)から、準急で15分弱。とても便利な場所にあります。藤井寺駅は、急行や特急は停車しませんので要注意です。藤井寺駅からは商店街を抜けて300m、徒歩で5分の距離です。
 かつて存在したプロ野球球団の近鉄バッファローズの本拠地、藤井寺球場がありましたが、いまは取り壊されて学校になっています。

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葛井寺周辺

参拝の記録


 東大寺の大仏建立を指揮したと言われている行基の開創と伝えられています。もともとは、7世紀ごろにこの地域にいた豪族の葛井連(ふじいのむらじ)の氏寺だったとも伝えられています。後の世で廃れてしまった葛井寺を再興したのが、「あかん河内の・・」で登場した藤井安基です。 

 立派な山門(南大門)が本堂の正面にあります。朱の色が褪せていますが、風格のある堂々たる門です。

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南大門

 本堂には、本尊として十一面千手千眼観世音菩薩坐像がお祀りされています。普段は見ることが出来ませんので、毎月18日のご開帳時にお参りすることをお勧めします。横には納経所も併設されていて、こちらで御朱印を頂くことが出来ます。

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本堂

 境内は小ぶりですが、かつては2キロ四方にも及ぶ広大な敷地に、2塔7堂を擁する伽藍があったそうです。いまでも、護摩堂、阿弥陀堂弘法大師堂があります。

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護摩

 阿弥陀堂には、阿弥陀如来と25菩薩像が安置されています。

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阿弥陀堂

 弘法大師堂の横には弘法大師像もあります。
 

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弘法大師

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弘法大師

 もう一つの山門である四脚門は、豊臣秀頼が建立したと伝えられており、重要文化財に指定されています。藤井寺駅から歩くと、まずこの四脚門が出迎えてくれます。元々は、南大門として建立されたそうですが、後にここに移築されたとのこと。

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四脚門

御朱印


 御朱印は「大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。

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御朱印

 

 

週刊 原寸大 日本の仏像 No.45 葛井寺 千手観音 と獅子窟寺・薬師如来

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008
  • メディア: 雑誌
 

 

 

西国(20) 秋には絶景、猪の地ならし逸話もある 善峯寺

西国二十番札所(京都府京都市西京区

西山 善峯寺(よしみねでら) 天台宗


癒しのポイント

 善峯寺のポイントは何といっても、この絶景。京都の街を西から眺めることができる珍しいスポットだと思います。京都の東側の山には高名なお寺が沢山あり、そこから京都の街を眺めることが出来ますが、この善峯寺は逆の方角からの眺めを楽しめます。静かな佇まいのなか、ゆっくりと座って眺めを味わうのがお勧めです。私が参拝したのは冬ですが、実は秋がこのお寺のシーズン。2005年のJR東海さんのCMにも使われるほど、紅葉がとても素晴らしいそうです。ぜひ次回は私も秋に来たいです。

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奥の院からの京都遠望

JR東海の2005年CM。
「そうだ、京都行こう」で紹介された紅葉が見事な善峯寺。


JR東海 そうだ、京都行こう。 2005年 秋 善峯寺編


猪の地ならし伝説


 日本書紀崇神天皇の章)に「日(ひる)は人作り、夜は神作る」と伝えられる倭迹迹日百襲姫(ヤマトトビモモソヒメ)の墓(箸墓古墳)の逸話がありますが、この善峯寺にもそのような伝説があります。

 『西山良峯寺縁起』によると、開山の祖である源算上人が、善峯寺の前身となった法華院の建立しようとしましたが、もともと岩が多い山の上ゆえに難工事に苦労していました。ある時、一人の僧が源算上人の夢枕に立ち、援助を約束します。すると、猪の大群が一夜にして岩山を砕き、そして地をならして平地となしたそうです。その地に建つのが今の善峯寺ということです。まさに「昼は人が作り、夜は猪は作ったお寺」ですね。

日本書紀 5冊 (岩波文庫)

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お寺への行き方


 最寄り駅はJR京都線東海道本線)の向日町駅。あるいは阪急京都線東向日駅から、阪急バスが出ており、66系統の「善峯寺行き」に乗って約10分、終点善峯寺バス停下車です。

 自家用車の場合は、向日市街地から府道208号線を西に6.5km。京都縦貫道を使われる方は大原野ICが最寄りになりますが、細い地道を通って府道208号線に出なければならないので、カーナビ必須かもしれません。(寺のWebサイトに文字で道順が書ていますが、複雑です・・・)。府道横の門前に有料駐車場があります(普通車500円)。駐車場から山門までは歩いてすぐです。

 京都を見下ろす山の上にあるお寺ですので周囲には何もありません。山を1kmほど下ると(府道208号線を東方向)、お土産や休憩が出来る茶店があります。

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善峯寺周辺

参拝の記録


 風雪に耐えて黒くなった木と、木口に塗られた白のコントラストが鮮やかな山門。元々は楼上に本尊の文殊菩薩と脇仏が祀られていたそうですが、いまは境内にある別の場所の文殊寺宝館に移されています。楼下に守る仁王さん(金剛力士像)は、運慶作と伝えられています。ここで入山料500円を払って境内に入ります。

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山門

 本堂の観音堂には本尊として千手観世音菩薩がお祀りされています。脇本尊も同じく千手観世音菩薩。納経所が併設されていて、こちらで御朱印を頂くことが出来ます。

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本堂(観音堂

 境内は広大で約3万坪。順路に沿って歩くと30~40分かかります。その中には様々なお堂があり、写真は釈迦堂。腰痛神経痛に霊験あらたかとの事です。他にも薬師堂、阿弥陀堂(現在修復中)などもあります。

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釈迦堂

 護摩行を行う護摩堂。本尊は五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉の五尊)です。

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護摩

天台宗のお寺ですが、弘法大師も。

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弘法大師

愛染明王がお祀りされている多宝塔。愛染明王は我々衆生を、あらゆる苦悩から救る仏様として信仰を集めています(愛染明王十二大願)。大日如来の化身とされ、我々の煩悩を炎で焼き払ってくれると言われています。

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多宝塔

 日本一の松ともいわれる、遊龍の松。樹齢は600年を超え、全長は37mにもなります。写真の松はたった1本の松が、臥龍が遊ぶように広がっているさまになっており、この名がつけられました。かつては50mを超えていたそうですが、松くい虫の被害により、現在はこの長さとなっているようです。とても見事な松です。

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遊龍の松

御朱印


 御朱印は「大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。

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御朱印

 

週刊 京都を歩く(39)大原野

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  • 発売日: 2004
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西国(21) 身代わり観音・安寿と厨子王丸の逸話が残る、穴太寺

西国二十一番札所(京都府亀岡市

菩提山 穴太寺(あなおうじ あなおじ、あなおでら、とも呼びます) 天台宗


癒しのポイント

 小さなお寺ですが、多くの伝説が残る、歴史を感じさせるお寺です。身代わり観音の逸話も惹かれますが、私は子供の頃に見た「安寿と厨子王丸」の逸話の方が身近に感じます。悲運の姉弟の物語に思いを馳せながら参拝するのも良いものです。


安寿と厨子王丸の伝説


悲運の姉弟、安寿姫と厨子王丸の物語。

国守だった岩城判官正が、周囲の讒言に陥れられ左遷をされてしまう。幼い安寿と厨子王は、母親とともに、父である正氏に会うために旅に出ます。しかし、その道中に悪い人買いに騙されれしまい、母親は佐渡、そして姉弟は丹後の山椒太夫に売り飛ばされます。

山椒太夫に奴隷として酷使される中で、安寿は厨子王だけでも逃がそうと画策します。逸話では、逃亡に失敗してしまい捕まってしまった時、罰として安寿の額に焼け火箸を当てられるのですが、肌守りの観音菩薩が身代わりとなって痕がつかなかったと伝えられています。
その後、二人は逃げることに成功しますが、安寿は厨子王を逃がしきるために犠牲となり、肌守りの観音菩薩厨子王に託して、沼に身を投げてしまうという悲劇が待っています。その際に、逃亡中の厨子王をかくまったお寺の一つが、この穴太寺と言われています。今でも、肌守りの観音菩薩がお祀りされており、普段は秘仏ながら、特別拝観などの際にはお姿を見ることが出来るようです。

後日談では、厨子王は、父に着せられた汚名を取り除くことに成功し、自らが国守に任じられるとともに、父・姉の仇討も果たすことになります。

安寿と厨子王丸 [DVD]

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身代わり観音伝説


 その昔、この地を治める郡司であった宇治宮成は、信心の篤い妻の勧めで、高名な仏師であった感世に、自分の馬を褒美にする代わりに聖観世音菩薩像を彫らせます。彫りあがった観世音菩薩像を受け取り、仏師感世に褒美の馬を与えるものの、やがて褒美の馬が惜しくなり、与えた馬に乗り帰路についた仏師感世を弓矢で殺し、馬を取り返したのです。

 ところが、馬をつれて家に帰った宇治宮成が見たものは、仏師感世に放ったはずの矢が観世音菩薩像に刺さっており、赤い血を流していたのです。観世音菩薩は、殺されようとした仏師感世の身代わりとなって、矢を受けたのです。同時に、宇治宮成が人殺しの罪を負わないようにとの慈悲の心でもあり、宇治宮成は改心して観世音菩薩を信奉することになったということです。

 傷を負った観世音菩薩は、宇治宮成の夢枕に立ち、穴太寺薬師如来に癒してもらいたいと願った事から、この穴太寺にお祀りされることになったと言われています。(残念ながら、この本尊となる聖観世音菩薩像は昭和43年に盗難に遭い、いまだ行方不明だそうです。現在、お祀りされている観世音菩薩は後に模造されたものとのこと。)

今昔物語集 全4冊セット (岩波文庫)

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お寺への行き方


 最寄り駅はJR嵯峨野線山陰本線)の亀岡駅亀岡駅からバス(京阪京都交通)が出ており、34系統、あるいは59系統の「穴太寺前(循環)」に乗って約10分の穴太寺バス停下車、 そこから徒歩10分です。

 自家用車の場合は、亀岡市街地から国道372号線を西に3kmほど走り、亀岡運動公園交差点を南に1kmです。境内に駐車場は無く、門前の有料駐車場を利用する必要があります(普通車500円)。門前には数軒の商店があります。

 またお寺の東側隣は、日本画で有名な円山応挙誕生の地とのこと。

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穴太寺周辺

 穴太寺から、西国二十番札所の善峯寺までは、京都縦貫自動車道・国道478号線を経由して車で約30分(約20km)です。お時間に余裕がある方は、同時にお参りをするのが便利かと思います。


参拝の記録


 狭い路地に突如現れる山門。知らなければ歴史のある古刹とは思わず通り過ぎてしまいそうです。西国三十三所札所の石碑が立っているのでわかります。

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山門

 本堂には本尊が二尊、薬師如来、そして聖観世音菩薩が祀られています。薬師如来は完全な秘仏でいままで開帳されたことが無いそうです。聖観世音菩薩は三十三年に一度のご開帳で拝顔することが出来ます。

 また、脇には、不動明王阿弥陀如来、そして釈迦如来涅槃像があります。釈迦如来は涅槃像(横になって涅槃の境地に至っている)で、実際に身体をさすることができます。釈迦如来の身体をさすることで病気が治ると伝えられています。(なで仏と呼ぶそうです)

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境内から見た本堂

 そして、脇には古い多宝塔があり、中には釈迦如来多宝如来がお祀りされています。

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多宝塔

御朱印


 御朱印は「聖大悲殿」(大悲殿は観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味、頭に聖がついているのは珍しいですね)。

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御朱印

 

遙かなる時空の中で エリアガイド 「京」都めぐり 舞一夜対応版

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西国(22) 亀に乗った観音様がいらっしゃる、総持寺

西国二十二番札所(大阪府茨木市

補陀洛山 総持寺(そうじじ) 真言宗


癒しのポイント

 ぼけ封じの普悲観音、「この世の一切の汚れを焼き尽くす」と言うトイレの神様で有名な烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)など、街中の比較的小ぶりなお寺ながら、ご本尊以外にも特徴ある様々な仏様がお祀りされているので、この一か所で何か所も参拝したような気分になります。


亀の恩返し伝説


 総持寺縁起絵巻に、総持寺を開いた藤原山蔭にまつわる亀の話が伝わっています。平安時代藤原氏の流れをくむ藤原高房と言う人物がいたそうです。ある日、高房は漁師に捕らえられていた大亀を自身の着物と引き換えに救います。ほどなくして高房は、息子である山蔭を謀略で川に捨てられてしまう。嘆き悲しんだ高房は日ごろから信仰している観音菩薩に祈念したところ、先に助けた亀に乗って山蔭が返ってきたという逸話です。高房の没後、山蔭は観音菩薩の恩に報いるために寺院を建立してお祀りをしたとのことです。

 ご本尊は、千手千眼観世音菩薩。逸話のごとく亀に乗った珍しい観音菩薩ですが、秘仏となっており、ご開帳のタイミングでなければ見ることはできません。

 また、山蔭は包丁道の創始者としても知られており、4月18日には包丁式とよばれる神事が毎年行われます。


お寺への行き方


 最寄り駅はJR京都線のJR総持寺駅から東に徒歩で5分。阪急京都線総持寺駅からでも西に徒歩で5分。街の真ん中にある少し小高い丘にあるお寺で、交通の便はとても良いです。街中にありますので、門前町などは無く、普通の商店が点在した場所です。

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総持寺周辺

参拝の記録


 駅から歩くことわずか5分で、総持寺に到着します。階段を上がった丘の上に、立派な山門と仁王さんが待ち構えてます。

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山門

 境内はこじんまりとしており、本堂には千手千眼観世音菩薩(秘仏)がお祀りされていますが4月18日の包丁式前後にはご開帳があるようです。

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本堂

 そして、その横にあるのが大師堂。このほかにも、ぼけ封じにご利益があるという普悲観音をお祀りする観音堂薬師如来をお祀りする薬師堂、如来荒神をお祀りする荒神社、不動明王堂など、それぞれは小さな建物ですが。境内にうまく配置されています。

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大師堂

御朱印


 御朱印は「大悲殿」(観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。

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ご朱印

 

 

高槻茨木ジモト飯 (ウォーカームック)

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西国(番外) 尼寺でないのに”尼寺”のお寺、花山院菩提寺

西国三十三所番外(兵庫県三田市

東光山 花山院菩提寺(かざんいんぼだいじ) 真言宗


癒しのポイント

 里山にある昔ながらのお寺という風情。深山幽谷と言ったけわしさを感じる山寺ではなく、懐かしいような穏やかな雰囲気に癒されます。展望所から見る山並みとはるかに望む街の景色を眺めていると時間を忘れてしまいそうです。


 お寺の概要


 第二十五札所である播州清水寺と同じく、天竺(インド)から渡来の法道によって創建されたと伝えられています。三田市街地から7.4km(車で約15分)、標高400mの東光山山頂にある小さな山寺です。

 その昔、死の淵にあった徳道上人が閻魔大王から三十三の宝印を授かり、現世に生き返り三十三の観音霊場巡礼を広めようとしたものの、なかなか人々に広まらず、後世に思いを託して宝印を中山寺(第二十四番札所)にて石棺に埋めたとの言い伝えがあります。
 後に、その宝印を探し出して、三十三の観音霊場巡礼を再興し、普及に努めたのが、花山法皇であり、その功を称して中興の祖と呼ばれています。この花山院は、花山法皇が巡礼の際に特に気に入った地として隠居生活を長く過ごした場所であり、いまもその菩提を祀っています。


十二尼妃の墓伝説


 花山法皇が出家をする前、帝の位にあった時に、帝の寵愛を受けた藤原忯子(宮中弘徽殿に住まわれていたので弘徽殿女御(こきでんのにょうご)と呼ばれていた)。その方は帝のお子をご懐妊されるも命を落としてしまうことになります。
 後に、この地に隠棲された花山法皇を慕う11人の女官たちが、弘徽殿女御の菩提を弔う為にこの地に来たものの、東光山の山頂にあるお寺は女人禁制だったために、尼となり山の麓に居を構えたとのことです。いつしか、その地域を尼寺(にんじ)と呼ぶようになり、今もそこには弘徽殿女御と11人の尼となった女官のお墓があります。
 「大鏡」などにも花山天皇の逸話が残されています。歴史に触れながら、静かな山寺を散策するのも良いかと思います。

大鏡 全現代語訳 (講談社学術文庫)

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お寺への行き方


 最寄り駅はJR福知山線三田駅で、神姫バスが1時間に1便でており、花山院停留所で下車の後、1km強の急な山道を登らなくてはなりません。体力に自信のない方はタクシーか自家用車で山門まで上がることが出来ますので、そちらの方がお勧めです。

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花山院周辺

参拝の記録


 山門前には無料の駐車場があり、また特に拝観料もかかりません。小さく質素ながらも、立派な山門です。

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山門

 山門から階段を上がると、こじんまりとした境内に出ます。写真は境内一番奥からで、手前が薬師堂(本堂)、そして花山法皇殿(こちらも本堂)です。この先に、三宝荒神を祀っている荒神堂と寺務所・納経所、不動堂があります。ご朱印は寺務所の納経所で拝受できます。 

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境内奥から

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薬師堂正面

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お大師さま

 不動堂の横には展望所があり、山上の見晴らしの良い場所から、山々や三田の街が一望できて、とても良い気分になります。(天気がよければ、遠く瀬戸内海や小豆島も見ることが出来るそうです)

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展望所からの風景

御朱印


 御朱印は「花山法皇殿」(花山法皇の菩提を祀るお寺ですから)

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ご朱印

 

 

くるり三田・北神戸+西宮北・有馬温泉2

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西国(25) 雲海に浮かぶ山上の聖地、播州清水寺

西国二十五番札所(兵庫県加東市

御嶽山 播州清水寺(ばんしゅうきよみずでら) 天台宗


癒しのポイント

 清らかな水の湧き出る深い山に囲まれた、まさに修行の地と言えそうな厳かな雰囲気を感じさせるお寺です。静寂とひんやりとした空気に、気持ちも引き締まる気分になります。これもお寺参りの醍醐味かもしれません


お寺の概要


 天竺(インド)から渡来の法道によって1800年前に創建されたと伝えられる古刹。山に囲まれた標高500mの奥地にある静かなたたずまいのお寺です。寺名は清水寺ですが、京都の清水寺と区別するために、播州清水寺と呼んでいるそうです。

 1800年前と言うと、歴史上の仏教伝来以前の話(所説ありますが西暦538年と言われている)ですが、法道が紫の雲に乗って天竺からやってきた、との伝説は後世のものとしても、なんとなく厳かな雰囲気を感じます。

 その昔、法道の祈念で湧きあがったと伝えられる”おかげの井戸”があり、その清らかな湧き出る水から寺の名前がついたとのことです。おかげの井戸に顔を映すと、寿命が3年延びると言われています。

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おかげの井戸 ©播州清水寺

お寺への行き方


 最寄り駅はJR福知山線相野駅で、神姫バスが1日に2便でています。運賃は片道600円。本数が少ないので、うまくタイミングが合わないと不便かもしれません。車であれば、舞鶴若狭自動車道の三田西、あるいは中国自動車道のひょうご東条が最寄りです。国道372号線の上鴨川交差点を東に7.5kmです。一般道から急な坂道の参道が3kmほど続きますので徒歩ではかなり厳しいと思います。道は良好なので、車での移動には困りません。

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播州清水寺周辺

参拝の記録


 山に上がる途中に料金所があり、入山料(拝観料)大人500円がかかります。仁王門前には無料の駐車場がありますが、実質、入山料が駐車料のような感じですね。

 仁王門をくぐり、そこから大講堂や根本中堂までは500mほど参道を歩くことになります。しずかな風の音を聞きながら歩くと気分が良いものです。山内の各お堂は過去の火災などによって消失してしまい、現存するのは大正から昭和にかけて再建されたものです。

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仁王門

 最初に姿を現すのは、薬師堂。小さなお堂ですが、立派な薬師如来が安置されています。

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薬師堂

 そして、その横にあるのが大講堂。千手観音座像を拝観することが出来ます。堂内は広く、冬場には暖房も入っているので快適です。この中に納経所があります。

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大講堂

 そして大講堂の横の階段を上がると、根本中堂。本尊の十一面観音菩薩秘仏のため、中は見れません。この観音菩薩は開山の祖、法道の手になるものだそうです。

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根本中堂への階段

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根本中堂

 山の起伏を上手く使っているので、点在するお堂がそれぞれに違った趣を感じさせます。ゆっくりと散歩をしながら歴史に思いをはせるのもいいかもしれません。

 山を下って10km(車で約18分)ほど走ると、陶器で有名な丹波立杭焼の里があり、窯元めぐりや、陶芸美術館を散策するのも良いかと思います。

 


御朱印


 御朱印は「大講堂」(西国三十三所の札所の場所が大講堂になっているので)

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ご朱印

 

関西 山の神社・仏閣で戴く 札所めぐり御朱印ガイド

関西 山の神社・仏閣で戴く 札所めぐり御朱印ガイド

 

 



西国(23) 勝負、受験、商売に”勝つ”なら、勝尾寺

西国二十三番札所(大阪府箕面市

応頂山 勝尾寺かつおうじ) 真言宗


癒しのポイント

 境内の至る所に置かれている大小さまざまな、だるま。奉納した人たちの、それぞれの思いや願いが詰まったものなので、それを眺めている私もなんだか元気をもらえそうな。風雨にさらされながらも、健気に座っている小さなだるまも可愛いものです。


お寺の概要


 創建、神亀四年(727年)の古刹。名前にあやかり”勝負に勝つ”と言うことで勝負事の寺として有名ですね。勝負事や合格祈願、商売繁盛などのご利益を求めて多くの参拝者の方が訪れています。

「古刹」とは、古く歴史のある名高い寺の事で、「刹」とは古代インドのサンスクリット語の寺を意味する言葉の音を当て字したもの


お寺への行き方


 最寄り駅は阪急箕面線箕面駅、そこからは徒歩で約8kmありますので、途中の箕面大滝を経て歩いて山門まで1時間半。少し足の遅い方ならば2時間以上はかかります。箕面駅からはタクシーに乗ると15分ですが、帰りの足を確保しておかないと、呼んでもすぐに来てくれないことがあります。

 北大阪急行線千里中央駅からは路線バスがありますが、平日は3便、土日休日は6便のみなので、時間の確認は必須です。

 公共交通機関が不便なので、多くの方は自家用車の利用になるかと思います。駐車場は有料で2時間まで500円とのこと。なお、勝尾寺へ向かう道路は、原付・バイクなど二輪車は通行禁止(警察で乗り入れ許可を受ける必要あり)なので注意してください。

 私は、お正月にお参りしたので、途中の道路は「激混み」。箕面大滝あたりから4km近く、車がほとんど動かない渋滞となっていましたので、タクシーを降りて坂道をひたすら徒歩で向かいました。

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勝尾寺周辺

参拝の記録


 山中なのでいわゆる門前町はありませんが、境内に休憩所があり、そこで休憩やお食事ができます。

 

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山門

 

 入り口で入山料(大人400円)を払い、いかにも”勝ち”に縁起がよさそうな山門をくぐると、広い境内が広がります。

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弁天池

 まず目につくのが弁天池。池の中には弁天様を祀っている弁天堂が浮かんでいます。スモークが立ち上っているので(そういう演出っぽい)、なんとなく浄土に来たような気分になります。インスタ映えするのか、皆さん写真を撮っていました。

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三宝荒神

 境内の至る所に大小さまざまな「勝ちだるま」が奉納されています。勝尾寺では、だるまを「勝ちだるま」と呼んで心願成就の縁起物としています。受験生には合格だるまとして、ここのだるまが人気です。
 だるまさんに見守られながら階段をあがると、最初にあるのが三宝荒神荒神さんは、頭髪を逆立てて眼を吊り上げ、暴悪を治罰するための憤怒の表情をしていて、不浄や災難を追い払う神様です。関西では宝塚市清荒神和歌山県の立里荒神と並び、信仰の対象となっています。

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本堂

 そして、本堂。ご本尊は、十一面千手観世音菩薩

 お正月の参拝では、勝負運のお寺ということで企業の参拝者が多数来られていました。また、参拝者には「勝ちだるま」、「勝守」など、勝負運や合格祈願などのお守りが飛ぶように売れていて、ご利益を求める人の多さに驚きました。

 また境内には弘法大師を祀った大師堂、不動明王を祀った不動堂など、多くのお堂がありますので、時間があれば、それらを散策しながら参拝するのも良いものです。

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多宝塔とだるま

御朱印


 御朱印は、「大悲殿」(観音菩薩のいらっしゃる場所と言う意味)。

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ご朱印

 

 

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